舞台「迷子」アーカイブ見ましたので箇条書き吐き出し

読み物の整理のため移動させてきました。
展開ネタバレあり。箇条書きなので読みにくいです。

記事の内容は古いですが今後再演などがあるかもなので置いておきます。

 

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・時間制作さんの舞台初めてなのとチラシのあらすじから逆転裁判みたいに「原告被告双方の話から決着を探す」みたいな話だと思ったら原告側メイン「身内のような知り合いとはいえ他人」という変えようのないものを背負った泥沼がデフォルトだったのでマイナス判定しか入らない時間無制限のボーナスステージって感じだった…日常発地獄行き鈍行列車…

・ユキちゃんは進展も後退も核心に触れることも避け続けたのに「俺が引っ張っていかなきゃ!」って空回ったまま周りだけ変わっちゃって、どんな形でも進もうとしたマキちゃんがもうどんずまりでマキちゃんの望む助けは来なくて、保身で証言しなかったショウちゃんはなんらかの軌道修正を試みるも結局最後全部なかったことにしたのずるい。

・これまでの全部を捨てて新しく生きていくを有言実行した新生ショウちゃんはメリバなの…その…ずるくない…?
劇中で自分はずるいって自答したけど最後までずるいじゃん…な、なんなんだあいつ…。
マキちゃんのお母さんはこれからの全部捨てる形で死を選んだけどメリバというより全員に呪詛を振りまいて死んでいったのにその呪詛はショウちゃんにはかかってないんだよなぁ…。

・パンフ読んでないので細かい設定は調べてないんですがそもそもショウちゃんが本当に分からないんですよね…。
部屋は借りてるのでどこからどこまでが私物なのか分からないしショウちゃんの行動や性格はいつもユキちゃんが定義してくるんだけどそもそも説明を担っていると思っていたユキちゃんの記憶が「こうであってほしい」に由来しているのでその説明自体が合ってるのか分からない。
ユキちゃんがマキちゃんとショウちゃんを探した話も実はショウちゃんは本当に泣いてなくて「ショウちゃんは泣いてたはず」だという思い込みかもしれないし。
そんな扱いのショウちゃんだから「両親が亡くなって辛い可哀想な子」とマキちゃんのお母さんから圧をかけられてたらショウちゃんが新しく証言しても誰もショウちゃんが何を考えて話したのか聞かないのでは…。
ユキちゃんはマキちゃんにも「マキはこうだ!」と決めつけている節があるのでいざマキちゃんにうまく対応するお兄ちゃんに「マキちゃんはそうじゃないのになんで?」と思ってるのかもと感じた。
お兄ちゃんは出てきた時は裁判に関しては完全に部外者で曲者感があるんだけどイタズラに引っ掻き回すでもなく相手を見てしっかり対応できる自分てのが育ってるんでしょうね。
流石二児の父。
アイリちゃんも家庭内が辛い状況なのにあえて相手に自分を合わせるだけじゃなくて自分を見てほしいとアピールできているのでユキちゃんだけが音頭が下手くそな太鼓持ちな印象になってしまうな…。

あとショウちゃんは家族とのやりとりが万華鏡の話以外極端に少ないのでおじいさんの手伝いをしようとした悪い人間ではないというあたりしか事件以前の性格も分からなくて、自分が原因の一端である罪の意識に苦しんでいたけど消火活動の際も適切な行動がとれたのかも実は分からない。
ユキちゃんがショウちゃんとお兄ちゃんの部屋でビール飲む時の動きから決断力の弱さや落ち着きのなさはあったのにユキちゃんはそれがショウちゃんだと思ってるから両親が亡くなってようが変わらずそのままでいてほしかったんだろうね。
ショウちゃんも「他人がこうなってほしいと望むような行動をする」という所があるのでこの2人は相当相性が良かったんだろう…。

「これまでの他人のための自分」と「自分のための自分」も捨てて気弱でもなくおどおどしてない、ユキちゃんがこれまで見ようとしなかったショウちゃんが隠れていた本来のショウちゃんだったんだとしたら。
ユキちゃんの知らないショウちゃんとユキちゃんの知らないマキちゃん。
ユキちゃんの苦しみはこれからだ。


・光と音の演出がめちゃくちゃに怖い

・最初にマキちゃんのお母さんが登場する際にお母さんを呼ぶ女の子の声がする。
お父さんは無反応だったのでこれ中盤までは「あの日のココミちゃんの声とお母さん」ってシチュエーションだと思ってたんだけど最後のマキちゃんの声まで聞くと「ずっと助けを求めていたのはマキちゃんだけどお母さんには届かないしお父さんにも聞こえないか聞こうとしていない」というのも重なってたのかと思うとこの仕込み怖すぎません?

・お祭りの日のショウちゃんの縋るような踊りが怖すぎる。
火あぶりの刑に処されているような身体な躍動と呼吸の音だけになっていくのが深海溺れていくようにも見えてひたすらに苦しい。
ちなみにここのシーンでなぜか再生が止まってしまって「この続きを見るって自分で選択しなきゃなのか…」としばらく読み込みさせるまでの時間がやたら長く感じました。

・マキちゃんのお母さんが簾を閉じるシーンで直前に終わらせ方の分からない編み物をハサミで切っていた時と同じくハサミの音がするのがめちゃくちゃ不穏。
毛糸からの首吊りの流れは町田さんの怒りや悲しみが紐という形になったようにも見えた。
冒頭で盆栽にハサミを入れる時もユキちゃんのお父さんの心情はとてもまともではなかったし左右を整えたはずの盆栽はハサミを入れるほど緑の豊かさを無くしていくのが「この舞台の中でハサミとは何を切るのか」にかかっている気がする。
包丁じゃ未遂に終わったのでやはりハサミである必要があるんじゃないかな。


団欒のシーンですら常に居心地の悪いギスギスした緊張感が漂っていたのとても凄かったです。
何回も見るにはメンタルがやられそうなので1回しか見れなかったけどもっと色々仕込まれてると思います。
個人的にはこれからを生きるのが一番ヤバそうなのはマキちゃんのお父さんな気がする…。
元生徒の2人もこれから進み出したはずの道でやっていけるのか…弁護士先生もあのまま弁護士でいられるのか?
マキちゃんのお母さんの呪詛効いてる効いてるぅ。
心にずっしりと煤が積もるような舞台でした…。
いや、心は…心はどこにあるんだろうね…。